通院1
通院開始
総合病院で出会ったその医師が開いている診療所に通うことになったのですが、そこは『なんでも科』でした。
内科、小児科、心療内科、外科、育児相談などなど・・・。数え切れないようないろいろなことを、その医師は一人でやっていたのです。
ですから、待ち時間が長いのも変わらないし、診察はもっとぞんざいになりました。
毎回、血圧を測るだけ。
そのためだけに、朝5時に診察券を出しに行き、9時にもう一度出かけるのです。じゃないと、幼稚園から帰ってくる子供の迎えに間に合わないから。
毎回、車を運転して通うのも辛かったし、症状もまったく改善せず。そのうち看護師さんから
「薬だけ取りにくれば?」
と、言われ、月に1度、一月分の薬を買いに行くだけになってしまったのです。

<自殺未遂>
ある時、夕食後の洗い物をしていて、ふと気が付いたら洗っていた包丁で手首を切ろうとしていました。自分自身、「これはマズイ」と思い、翌日、心療内科に行きました。
そこで昨夜の包丁のことを話すと、
「それは良くない兆候だから、日曜日にご主人も一緒に来てください」
と、言われました。
そこで、指定された時間に行ったのですが、日曜日は予約だけだというのに物凄く混んでいて、2時間ほど待たされた挙句
「ああ、今日はご主人も一緒に来たの?」
そして主人に向かって、
「大丈夫ですよ。薬をちゃんと飲んでいれば、3ヶ月もあれば治る病気ですからね。心の風邪とも言うくらいですからね」・・・と。
そしていつものように血圧を測っただけで、
「じゃあ、薬、ちゃんと飲んでね」
で、終わりました。
医師は自分から「ご主人も・・・」と言ったことを忘れていたのです。

<居眠り>
ある日、都合で総合病院の方に行きました。そこで、たまたま心療内科に掛かっている人達が近くの椅子に座り合わせました。
すると、情報通のご婦人が
「あの先生、診察の合間に居眠りしてるのよ」と。
確かに、診察室から患者さんが出てきてから、次の患者さんが呼ばれるまでにやたらと時間が掛かることがあったのです。
聞くと、忙しすぎて寝る時間が無いから診察の合間にウトウトしているとのこと。仕事の時間をコントロールできないらしく、休診日も休診時間も定まっていないとか。
「先生の方こそ、心療内科で診てもらう必要があるわよねぇ」
周りのご婦人方もウンウンとうなずいておりました。